穂高槍縦走 四日目 ~The last traverse of my life~
鎌尾根を下る
相変わらず雨はポツポツと振っては止んでを繰り返している。まだレインを着なくても大丈夫か。意外に距離があったけど、行く手にヒュッテ大槍が見えてきた。鎌尾根に乗っかるように建っている山荘だ。時間的なものだろうか、出発時にすれ違った女性以外は人の気配は全くしない。静かな尾根を気をつけながら下りていく。

ちょっと進んで奥穂方面を見ると、奥穂から見るようなジャンダルムとロバの耳の形がはっきりと見えてくる。

殺生ヒュッテへの分岐路。ヒュッテへはここから右へ下りていく。

雲はどんどん厚くなっていくようだ。せめて鎌尾根を歩いている時までもってくれればいいのだけど…

ヒュッテ大槍に到着。意外に遠かったな。
ヒュッテ大槍を過ぎてからは見通しのいい尾根を軽くアップダウンしながら標高を下げていく。行く手に尾根が続いて見えるので気持ちがいい。しかし右へ回り込んだ所で止まってしまった。何と登山道を雪渓が横切っている。長さは10mほどだ。よく見ると確かに歩いた跡はある。足を置いてみると、固く締まっているというよりも多少緩い。ここはゆっくりとキックステップで一歩一歩ゆっくり歩いていく。そして難なくクリア。

ヒュッテ大槍まで100mの標識。目安になるからいいね。

尾根道はアップダウンしながら標高を下げていく。
まだまだ鎌尾根は続いていく。それにしても歩きやすいな…と思うのは、ジャンや大キレットを越えてきたから言えることであって、ここでも危険な箇所は随所にある。前方に続く尾根道を楽しみながら集中して歩いていく。しかし人と全くすれ違うとことがないし、誰かが登ってくる気配もない。

いきなり現れた雪渓・足を乗せて状態を確認。

どうやらキックステップで行けそうだ。気をつけてゆっくり歩いていく。

まだまだ続いていく東鎌尾根。5年前に登ったけど、やはりあの時も長かった。しかし喜作新道を見ながら下っていく尾根道はすごく印象的だ。

ああ、槍はあんな遠くになってしまった。

木の階段。これがあるだけでもマシ。

行く手に長い梯子。確か5年前にも見た記憶がある。これだけでも足がすくむ人がいるので、慣れない人はやはり槍沢から目指したほうがいい。喜作新道からは東鎌尾根経由で槍を目指すけど、上高地からは槍沢の方が無難だ。

ハイマツの赤い実。ここから松ぼっくりになっていく。

まだまだ続いていく登山道。良い風景だ。
振り返るとまだ槍は見えている。確か5年前に歩いたときに槍を撮影した場所と同じところから撮ってみた。あの時は秋が近かったので紅葉がきれいだったけど、今は初夏なので所々に残雪が見えている。そして中岳には昨日見た大きな雪渓がこちらからでもよく見えている。この季節はまだ登山者も少なく、静かな山が楽しめる反面、いつもよりも最新の注意を払って山に入らなくてはならない。
更に先へ進み、大きくピークを右へ巻いて険しい岩場を下りていくと、水俣乗越の標識が見えてきた。ここで東鎌尾根歩きはおしまい。意外に長かった東鎌尾根も無事に歩き通せた。またいつかここも歩くことがあるのだろうか。

東鎌尾根から見る槍ヶ岳は本当に美しい。単に尖っているからだけでなく、なぜか見とれてしまう。しかしあそこまで遠いんだよね。

中岳直下の雪渓と南岳に続く稜線。あそこもまたいつか歩けるのだろうか。

そして北穂高岳。あそこも景色は最高だった。

道はフラットになったけど、最後は岩場の下りと化す。

急な岩場を下りると槍沢の標識。ようやく水俣乗越に下りてきた。

そういえば5年前はここでヘルメットを被ったな。
空からは相変わらず小雨が降ったり止んだり。槍ヶ岳山荘から一気に下りてきたのでここで一服したいのだけど、如何せんいつ本降りになってくるかわからないので、ここは小休止にとどめて槍沢の方へと下りることにする。
水俣乗越の北側には湖、いやあれは高瀬ダム調整湖だ。湯俣から竹村新道を登り、野口五郎、烏帽子、不動、船窪と周回したな。
そしてここは北鎌尾根へと通じる分岐でもある。北鎌尾根はバリエーションルートなので、自分には到底無理。そこのところは十分わきまえている。
空もかなり怪しくなってきたので、そろそろ槍沢へと下りていこう。




