穂高槍縦走 二日目 ~The last traverse of my life~
奥穂での出迎え
岩を掴む登りも徐々に落ち着き、岩屑の狭い稜線歩きとなった。それに加えて辺りにガスも登ってきた。しかし行き先が見えないほどではなく、この先到達すべき奥穂の山頂は見えている。最後の難関は馬の背。ナイフリッジの岩峰を信州側、飛騨側と交互に足を置きながら進んでいく。さすがにここは立ち上がっていくことはできず、両手も岩を掴むようにして慎重に進む。今回のように西穂からの縦走ではここは登りになるのでまだマシだけど、奥穂からは下りになるのでかなり難しい。中には足がすくんで動けなくなる人もいるようだ。

最後の難所、ナイフリッジが続く馬の背に差し掛かる。ここもちょっと間違えると一巻の終わり。信州側に回ったり、飛騨側に足を置いたりでしっかりと行く手を見極めて判断しないといけない。

岩に「ウマノセ」と書かれてある。

ナイフリッジの上を進む。初めての人はびっくりするかもしれない。

その難所の馬の背も難なくクリア。あとは岩屑の稜線を奥穂目指して歩くだけ。前回はこの辺りでかなりバテてしまったけど、今回はペースもゆっくりだし、途中で十分に休憩も取っているので足が止まるようなことはない。
先にはもう奥穂の山頂方位盤が見えている。奥穂は賑わっているだろうか、どれだけ登山者がいるだろうか。あともう少しだ。

馬ノ背を越えて奥穂を目指す途中にある看板。これはP1にあったものと同じで、奥穂からの登山者の注意喚起だ。ジャンの姿を見て行ってみたいのはわかるけど、安易に立ち入ってはいけない。
奥穂までの途中に看板が立っている。これはP1で見た看板と同じだ。もちろん、奥穂から西穂へと縦走する登山者もいるけど、やはり安易に立ち入ってはいけないところ。この先は一般ルートではないという注意喚起のために立てられたものだ。
そして山頂が目の前近づいてきた。本当にあとここを登れば今日の目的地の奥穂高岳だ。

奥穂山頂の方位盤が見えている。本日のクライマックス。しかしよくここまで無事に来ることができた。
13年前、フラフラになりながらも西穂山荘から奥穂高岳まで縦走した。息を切らしながら奥穂山頂の方位盤で景色を楽しんでいる人たちが出迎えてくれるようだった。今日はどれくらいの人たちが出迎えてくれるだろうか。と、ちょっと期待しながら歩いていく。人の気配がさほど感じられない。目の前の方位盤には若い男性一人が座っているのみ。あれ? 国内3番目の標高の奥穂高岳はいつも賑わっているのに、こんなに静か? ガスが立ち込めて周りが見通せないからかな?
と思いつつも何とか奥穂高岳に到着した。13年前と同じルートを無事に歩き通すことができた。何とチャレンジし甲斐のある縦走路なのだろう。最後はガスの中で見通しはきかないけど、今日はここまで歩き通せたことで満足だ。しかし辺りを見渡しても方位盤のところで食事をしているお兄さん以外は誰もいない。これまで奥穂には何度も登ったことはあるけど、暗い中を除いてこんなに静かな奥穂山頂は初めてだ。お兄さんに声を掛けて前回と同じようにお菓子をシェア。今日の行程を聞いてみると、上高地から重太郎新道、吊尾根を経て奥穂までやってきたそうだ。そしてなぜここまで人が少ないのか聞いてみると、夏休みに入る前の6月から7月上旬にかけてはいつもこんな状況らしい。特に年明けからの積雪が例年より多く、残雪も多いのであまり登山者も上がってこないとのことだ。彼は毎年この時期を狙って静かな山を楽しんでいるらしい。なるほど、西穂からの縦走で奥穂からすれ違った登山者は若干3名。この時期は登山者の絶対数が少ないということか。お兄さんは今日中に上高地へと戻るそうなので、早々に下山していった。
こんな時間に奥穂高岳でボッチになってしまったけど、改めて久しぶりに訪れた山頂周辺を散策してみる。周りの景色は既に何度も楽しんでいるのでガスに隠れていてもがっかりすることはない。山頂の祠や随所にあるケルン、古びた指導標などいつもの奥穂山頂だ。十分に縦走の満足感を満喫し、穂高岳山荘に向けて下山する。
ここをまた訪れることは… あるのかなあ…

今日の縦走のゴール、奥穂高岳に到達した。もう満足意外に感じるものはない。よく重いザックを背負って無事に歩き通せたものだ。日本屈指の難ルートなのだけど、本当にチャレンジングな縦走路だ。

下から方位盤を見上げてみる。

辺りはガスが立ち込めて見通せない。

古びた足道標。左が前穂で手前が白出のコル。

山頂にある祠も健在だ。

実にここに来るのは2013年の9月に槍から大キレットを越えて辿り着いて以来だ。よくよく見ると、以前訪れた時から祠が新しくなっているよ。

歩いてきた縦走路はすっかりガスに隠れてしまった。

山頂は広い。ちょっと散策。

本当に誰もいない。今の時期では普通らしい。

ここの標高は3,190m。今回の4日間の中で最も標高が高いところだ。

十分に山頂を満喫。次に来ることはあるのかな。

これも古びた指導標だけど、右は西穂高岳と彫られている。

そして岩に書かれた「西ホへ」の文字と矢印。

そろそろ今日の宿泊地、穂高岳山荘へと下りていく。一時間もかからないと思うけど、最後は梯子や岩場があるので、気を抜かないようにしよう。まずは本日の縦走お疲れさま。
