穂高槍縦走 三日目 ~The last traverse of my life~
残雪のステップ
岩峰を登り切ると平坦なところに出た。何も標識はないが、GPSによるとここが北穂高岳南峰のようだ。朝日は既に常念岳の左側から登っている。陽の光を浴びた山々が360°ぐるりと望むことができる。北側の一番遠くは雲海に浮かぶ白馬岳。何といっても手前の船窪、七倉、北葛といった山々が雲海の中で薄っすらと見えているのは幻想的だ。こうやって眺めてみるとまだまだ残雪が多い。所によってはアイゼンやピッケルが必要なんだな。
しばらく景色に見とれてしまうが、ここでのんびりしている訳にはいかない。槍の手前、中岳の東斜面に登山道が続いているはずだけど、大きな雪渓が横たわる。あそこもアイゼンが必要となるのだろうか。それよりも前に大キレットが待っている。いや、まずは北穂までたどり着かなくては。
北穂南峰からちょっと進むと北穂分岐の指導標が立っている。ここから右へ下りていくと涸沢経由で上高地へ。上高地から北穂を目指すのなら、このルートが一般的た。で、北穂の北峰はここから200m。しかし山での200mはかなり長い。あと少し頑張ろうと先へ進む。
と、行く手に残雪が見えてきた。よくよく見ると登山道が途中から雪渓の縁に続くようになっている。そしてその先は雪の塊… いや、ステップが切ってある。ここが名物(?)の北穂直下の残雪のステップだ。さて、ここでアイゼンを付けるか、と思ったけど、改めて雪面を確かめてみると意外にも締まっていて滑ったり足が埋まったりすることもない。

北穂分岐の指導標。上高地から北穂を目指す時はここを通るのが良い。
しかもステップの幅も大きいので、ここは慎重にそのまま進むことにする。ステップの段差はそこそこ高いのだけど、一段を低くすると雪が融けてすぐに斜面になってしまうだろう。
雪が切れたところを登っていくと、「松ナミ(濤)のコル」と書かれた標識が立っている。その横には多分小屋のスタッフが置いていったステップを切るためのスコップが置いてある。小屋スタッフのお陰で安全に山歩きができているんだよね。振り返って歩いてきたところを見下ろすと、かなり雪渓の幅は広く、ここにステップを切るのは大変な作業だろう。
さあ、間もなく北穂山頂だ。

行く手に大きな雪渓だ。確かにペンキマークはこの先に続いている。

雪渓の縁に沿って続く登山道。

かなり迫ってくる雪渓。この先は?

大きなステップが切ってある。ここが北穂直下のステップだ。

雪面は意外に固くしっかりとしている。ステップの幅も広い。

この辺りは日陰になるから雪面も締まっているのか。

アイゼン付けるまでもなかったね。

雪渓を登った先には松濤のコル。ステップを切るためのスコップが置かれている。季節も進むと雪も緩くなってくるので、返って危険かもしれない。なにはともあれ、小屋スタッフさんには頭が下がる。

歩いてきた雪渓を見下ろす。これだけのステップを切るのは大変かつ危険な作業だろう。しかしこの雪渓は夏シーズンでいずれ消えてしまうんだよね。

北穂山頂まであともう少しのはずだ。

指導標が見えてきた。山頂に着いたようだ。



